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(1) 刑罰の種類
刑の種類は、刑法上以下のように分類されています。
主刑 |
①死刑 |
付加刑 |
⑦没収 |
(2) 刑罰の内容
ア ①死刑
文字通り、死をもって刑罰とするものです。法律上は、絞首により執行するとされ、執行までは刑事施設内に拘置されることになります。死刑が法定刑として定められている犯罪類型はかなり限られています。これは死刑が極刑とも呼ばれることからもわかる究極の刑罰ですから、適用される犯罪類型が限定されるのは当然といえます。
イ ②懲役③禁固⑤拘留
懲役・禁固・拘留は、いずれも一定期間、刑事施設に拘置することを内容とします。
他方で、以下の通り違いもあります。
刑罰名 |
期間 |
内容 |
懲役 |
有期・無期あり。 |
刑事施設に拘置 |
禁固 |
懲役と同じ |
刑事施設内に拘置 |
拘留 |
1日以上30日未満 |
刑事施設内に拘置 |
ウ ④罰金⑤科料
罰金と科料は、一定の金員を支払わせることを内容とする点で共通です。
違いは、その金額です。
罰金 |
1万円以上 ※例外的に1万円以下となることもある |
科料 |
1000円以上1万円以下。 |
罰金・科料を支払わない場合には、労役場(刑事施設)に留置されてしまいます。
エ ⑦没収
これは主たる刑罰ではありませんが、犯罪行為に用いられた物品などを没収する附属的な刑罰になります。
(3) 前科について
前科は有罪判決を受けて初めてつくものであり、警察に逮捕されたというだけではつきません。起訴猶予、不起訴、などで終わった場合は前科にはならないし、起訴されたけれども無罪になった場合はもちろん前科にはなりません。
一方、罰金であっても駐車違反やスピード違反の場合の行政罰としての罰金と異なり、刑罰としての罰金を科された場合は、前科になってしまいます。
前科があると、再度犯罪を起こしてしまった場合に不利になりうることはよく知られていると思います。具体的には、起訴するかどうか、裁判になったとして執行猶予を付けるかどうか、有罪判決の際に量刑をどうするか、の各場面において考慮され得ます。もちろん、それらは様々な要素で判断されるものなので前科だけが問題になるわけではありませんが、場合により重要な考慮要素になりうるのは事実です。
なお、少年事件で刑事処分ではない処分を受けた場合は前科ではなく前歴となります。
刑事処分を、身体の拘束や金銭的損失という観点からだけとらえるのであれば、有罪でも執行猶予が付けば実際の刑に服さないという点では不起訴の場合と同じように感じるかもしれません。しかし、執行猶予がついても前科になることには違いません。前科が付くと特定の職業の制限など社会的な不利益を受けることが制度上、また、事実上、あります。それゆえ、不起訴を勝ち取ることは刑事弁護において重要な目標になります。
そのために、事件の種類や具体的な罪状などの状況によりますが、不起訴の可能性もありうる場合には、まずは不起訴を勝ち取るべく、示談交渉その他の弁護活動を行ないます。