このページの目次
1.児童ポルノとは
児童ポルノは、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」、通称「児童ポルノ法」に定められている犯罪です。
それでは、児童ポルノとは何なのか、条文を見てみましょう。
〇児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律 第2条3項 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(中略)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。 ⑴ 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態 ⑵ 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの ⑶ 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの |
児童ポルノの定義は、「写真や電磁的記録媒体(CD、DVD、携帯電話やカメラのデータ、パソコンのデータ等)などで、児童の姿を描写したもの」です。
「児童の姿」とは、具体的には、
- 児童が性交等をしている姿
- 他人が児童の性器等を触る行為または児童が他人の性器等を触る行為の児童の姿で、性欲を興奮・刺激するもの
- 着衣の全部または一部を身に着けない児童の姿で、ことさらに児童の性的な部位が露出・強調されていて、性欲を興奮・刺激するもの
以上の3つが該当します。
ここまでのまとめ
児童ポルノとは? |
写真や電磁的記録媒体(CD、DVD、携帯電話やカメラのデータ、パソコンのデータ等)などで、児童の姿を描写したもの。 |
どのような姿? |
|
※₁性欲を興奮・刺激するもの。
※₂性的な部位が露出・強調されていて、性欲を興奮・刺激するもの。
2.児童ポルノの種類と処罰
それでは、児童ポルノをどのように扱ったら違法になるのでしょうか。刑罰とあわせて、法律の条文をみてみましょう。
〇児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律 第7条 (1) 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(中略)は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、(中略)電磁的記録を保管した者(中略)も、同様とする。 (2) 児童ポルノを提供した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。(後略) (3) 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。(後略) (4) 前項に規定するもののほか、児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。 (5) (前略)ひそかに第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。 (6) 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。(後略) (7) 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。(後略) (8) 第6項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。 |
条文が非常に分かりにくいので、表で整理します。
児童ポルノを・・・ |
罰則 |
・自己の性的好奇心を満たす目的で所持する行為 |
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
・自己の性的好奇心を満たす目的で電磁的記録を保管する行為 |
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
・提供する行為 |
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金 |
提供する目的で製造・所持、運搬、本邦に輸入、または本邦から輸出する行為 |
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金 |
・製造する行為 |
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金 |
・盗撮により製造する行為 |
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金 |
・不特定か多数の人に提供・公然陳列する行為 |
5年以下の懲役又は500万円以下の罰金又は併科 |
・不特定か多数の人に提供・公然陳列する目的で製造、所持、運搬、本邦に輸入、または本邦から輸出する行為 |
5年以下の懲役又は500万円以下の罰金又は併科 |
・不特定か多数の人に提供・公然陳列する目的で輸入・輸出する行為 |
5年以下の懲役又は500万円以下の罰金又は併科 |
児童ポルノは、具体的には以上の8類型に分類されます。犯罪行為の重大さによって刑罰の重さも変わります。
3.弁護活動の方針
- 児童ポルノの場合、被害者児童の権利や社会的な秩序という重大な保護法益の侵害を鑑みて、逮捕ののち勾留される場合があります。逮捕段階での選任の場合には、状況にもよりますが、検察官に対して勾留の理由や必要性がないことを説得します。
勾留が決定した場合にも、住所がしっかりしているなど逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れがなさそうな場合には、準抗告や勾留取消請求が認められる可能性があるため、それらの手段で身柄の解放を図ります。なお、早期の釈放のためには家族による監督も重視されることが多いので、家族の方に協力を求める場合もあります。 - 児童ポルノの場合、示談成立の可能性があります。まず、被害者等の方々が受けた精神的なダメージに対して誠意を持った謝罪と償いの意思を示す必要があります。それを形にするためには示談が必要であり、示談が成立するかどうか及び実際に履行されるかどうかが起訴・不起訴の決定や刑の重さを大きく左右するため、示談交渉に積極的に取り組みます。
弁護活動方針のまとめ
|
当事務所では、児童ポルノといった刑事事件において、状況に応じた対応を迅速かつ慎重に行うよう心がけております。刑事事件は最初が肝心です。まずはご相談ください。